• 2025年10月12日
  • 2025年10月13日

部分矯正が適応できる歯並びとは?できない3つのケースと判断基準

「前歯のガタガタだけ、少し治せたら…」
「全体矯正のように費用も期間もかけられない」

このように、歯並びの一部分にコンプレックスを感じつつも、本格的な矯正治療には踏み出せない方は少なくありません。
そんなお悩みに応える選択肢が、気になる部分だけを整える「部分矯正」です。

しかし、「私の歯並びは部分矯正で本当に治るの?」という疑問や、「失敗して後悔したくない」という不安も大きいのではないでしょうか。
この記事では、歯科医師の監修のもと、部分矯正が適応となる歯並びの基準から、適応外となるケース、そして後悔しないための注意点まで、専門的な情報を分かりやすく徹底解説します。

そもそも部分矯正とは?全体矯正との4つの違いを比較

部分矯正とは、その名の通り、歯並び全体ではなく一部分の歯だけを動かして整える矯正治療のことです。
主に見た目が気になる前歯などを対象とします。

一方、全体矯正は、奥歯を含むすべての歯を動かし、見た目の美しさはもちろん、噛み合わせの機能改善まで目的とする治療です。
両者の違いを理解することで、ご自身がどちらの治療に向いているのかが見えてきます。

比較項目部分矯正全体矯正
目的見た目の改善が主見た目と噛み合わせの改善
治療範囲前歯が中心(上下各6本程度)すべての歯
治療期間約3ヶ月~1年約2~3年
費用約20万円~80万円約80万円~140万円

このように、部分矯正は治療範囲を限定することで、費用と期間を抑えられる点が大きなメリットです。
ただし、適応できる症例が限られるため、まずはご自身の歯並びが対象となるかを知ることが重要になります。

あなたの歯並びは部分矯正できる?適応となる4つの症例

では、具体的にどのような歯並びが部分矯正の対象となるのでしょうか。
ご自身の歯並びと見比べながら、セルフチェックの参考にしてみてください。

症例1:軽度の叢生(前歯のガタガタ・八重歯)

「前歯が1本だけ少し内側に入っている」
「犬歯が少しだけ前に出ている(軽度の八重歯)」

このような前歯の軽微なガタガタは、部分矯正の良い適応症例です。
専門的な基準としては、歯が重なることで不足しているスペースが3mm未満、歯のねじれ(捻転)角度が10度未満の場合などが目安となります。

症例2:軽度の空隙歯列(すきっ歯)

「前歯の真ん中に隙間があるのが気になる(正中離開)」

前歯の隙間、特に2mm未満の小さな隙間は、部分矯正で比較的短期間に閉じることができます。
歯を動かす距離が短いため、患者様の負担も少なく済むことが多い症例です。

症例3:軽度の出っ歯・受け口

歯の傾きが原因で、前歯が少しだけ前に出ていたり、下の歯が上の歯より前に出ていたりする場合も、部分矯正で改善できる可能性があります。
ただし、これは顎の骨格に問題がない場合に限られます。
骨格的なズレが原因の場合は、部分矯正では根本的な解決が難しくなります。

症例4:矯正治療後の後戻り

過去に矯正治療を終えた方の軽度な後戻り(歯の移動距離が2mm未満)の再治療にも、部分矯正は非常に有効です。
全体矯正をもう一度行う必要はなく、気になる部分だけを短期間で修正することができます。

部分矯正が適応できない3つのケースと専門的な判断基準

手軽に見える部分矯正ですが、残念ながらすべての歯並びに適応できるわけではありません。
ここでは、時間や期待を無駄にしないためにも、部分矯正が適応外となる代表的な7つのケースとその専門的な判断基準を解説します。

ケース1:奥歯の噛み合わせに問題がある・骨格性の不正咬合

出っ歯や受け口の原因が、歯の傾きではなく、上顎や下顎の骨格そのもののズレにある場合、部分矯正では対応できません。
前歯だけを動かしても、土台となる骨格に問題があれば、根本的な解決にはならず、不安定な治療結果になる可能性があります。
このようなケースでは、セファロ分析(頭部X線規格写真)といった専門的な検査で骨格を診断し、全体矯正や外科的矯正治療が必要となります。

ケース2:抜歯が必要なほど歯の重なりが大きい(重度の叢生)

歯のガタガタが大きく、歯をきれいに並べるためのスペースが大幅に不足している場合(目安として3mm以上)、部分矯正では対応が困難です。
このような症例では、歯を並べるスペースを作るために抜歯が必要になることが多く、奥歯から動かす全体矯正が必須となります。
部分矯正で無理に歯を並べようとすると、前歯が全体的に前に出てしまう(口ゴボ)リスクもあります。

ケース3:重度の歯周病や虫歯がある

重度の歯周病で歯を支える骨が溶けている状態で歯を動かすと、歯が抜けてしまう危険性があります。
また、矯正装置を付けると歯磨きがしにくくなるため、治療前に大きな虫歯がある場合は、まずその治療を優先しなければいけません。

知っておきたい部分矯正の4つのリスク

部分矯正はメリットの多い治療法ですが、リスクがゼロというわけではありません。
治療を始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、事前に考えられるリスクとその対策をしっかりと理解しておきましょう。

  • リスク1:治療後の後戻り
    • 原因: 矯正治療後の歯は、元の位置に戻ろうとします。保定装置(リテーナー)の使用を怠ることが主な原因です。
      治療後、歯科医師の指示通りにリテーナーを決められた期間・時間、正しく装着しましょう。
  • リスク2:歯根吸収
    • 原因: 歯に力をかけて動かす過程で、歯の根が少し短くなることがあります。特に強すぎる力をかけた場合に起こりやすいです。定期的にレントゲンで歯根の状態を確認することが大切です。
  • リスク3:噛み合わせの変化
    • 原因: 部分矯正は前歯の見た目を優先するため、奥歯の噛み合わせは考慮されません。治療によって意図しない噛み合わせの変化が起こる可能性があります。
      治療前に噛み合わせに問題がないか、精密な診断を受けることが重要です。
  • リスク4:虫歯・歯周病
    • 原因: 矯正装置の周りは歯磨きがしにくく、汚れが溜まりやすくなります。毎日の丁寧なセルフケアに加え、歯科医院で定期的なクリーニング(PMTC)を受けることが効果的です。 

「部分矯正はできない」と言われたら?考えられる3つの代替治療法

もしカウンセリングで部分矯正が適応外と診断されても、あなたの歯並びをきれいに整える方法は他にもあります。
ここでは、考えられる3つの代替治療法をご紹介します。

  1. 全体矯正
    奥歯の噛み合わせからしっかりと治す、最もスタンダードな矯正治療です。部分矯正では対応できない複雑な歯並びや、骨格的な問題にも対応できます。時間はかかりますが、機能的にも審美的にも最も理想的な歯並びを目指せます。
  2. 外科的矯正治療
    顎の骨格に大きなズレがある場合に行われる治療です。顎の骨を切る手術と全体矯正を組み合わせることで、顔の輪郭を含めた根本的な改善が期待できます。
  3. 補綴治療(セラミック矯正)
    歯を動かすのではなく、歯を削ってセラミックの被せ物(クラウン)を装着することで、短期間で見た目を整える方法です。歯の色や形も同時に変えられますが、健康な歯を削る必要があるというデメリットも存在します。

部分矯正で失敗しないための歯科医院選び2つのポイント

部分矯正の成功は、どの歯科医院で治療を受けるかに大きく左右されます。
費用や期間だけで安易に選んでしまうと、満足のいく結果が得られないこともあります。

1. CTなどによる精密な診断と治療計画

部分矯正が本当に適応可能か、そして安全に治療を進められるかを判断するには、精密な検査が不可欠です。
見た目だけでは分からない歯の根の状態や、顎の骨の厚みなどを3次元的に把握できる「歯科用CT」を導入している医院は、より正確な診断が期待できるでしょう。
とどろき今井歯科では、最新のCT設備を用いて、患者様一人ひとりに合わせた安全で確実な治療計画を立案しています。

2. メリット・デメリットを正直に話す丁寧なカウンセリング

良い歯科医院は、患者様の希望を丁寧にヒアリングするだけでなく、治療のメリットはもちろん、デメリットやリスク、他の治療選択肢についても正直に説明してくれます。
「部分矯正でどこまで治せて、どこからは治せないのか」を明確に示し、患者様が十分に納得した上で治療を開始する姿勢が重要です。
とどろき今井歯科では、初診時に無料カウンセリングを行なっており、患者様との対話を大切にしています。

【まとめ】自分の歯並びに最適な治療法を見つけるために、まずは専門医にご相談を

この記事では、部分矯正が適応となる症例から適応外のケース、治療法、リスクまでを詳しく解説しました。
部分矯正は、費用や期間を抑えながら気になる部分の歯並びを改善できる、非常に魅力的な治療法です。

しかし、その適応範囲は限られており、自己判断で「自分は部分矯正で治せるはず」と思い込むのは危険です。
最も大切なのは、CTなどの精密検査設備が整った歯科医院で、矯正治療の経験が豊富な歯科医師による正確な診断を受けることでしょう。

とどろき今井歯科では、専門医が患者様一人ひとりのお口の状態を丁寧に診査し、部分矯正が最適なのか、あるいは他の治療法が良いのかを正直にお伝えします。
あなたの歯並びに関するお悩みを、ぜひ一度お聞かせください。


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