• 2025年10月13日

矯正中の口内炎が痛すぎる!今すぐできる緊急対策から予防法まで歯科医師が徹底解説

「矯正装置が当たって口の中が痛い」
「口内炎がいくつもできて、食事や会話もつらくて耐えられない」

歯列矯正を始めたばかりの方や、調整した直後の方は、このような激しい痛みに悩まされることがあります。
この痛みが原因で「もうやめたい」と挫折しそうになるのは、非常につらい状況でしょう。

しかし、その痛みは適切な対策を知ることで、すぐに和らげることが可能です。
この記事では、矯正中の痛すぎる口内炎に今すぐできる応急処置から、根本的な治療法、そして二度と繰り返さないための予防策まで、歯科医師が専門的な知見に基づいて徹底的に解説します。

矯正中に口内炎ができる・悪化する4つの主な原因

本格的な対策を知る前に、まずはなぜ矯正中に口内炎ができやすいのか、その仕組みを理解しておきましょう。
原因を知ることで、この後の対策がより効果的になります。
主な原因は、以下の4つに分けられます。

主な原因詳細
1. 物理的な刺激ワイヤー矯正のブラケットやワイヤー、マウスピースの縁などが頬の内側や舌に直接当たり、粘膜を傷つけるためです。
2. 口腔内の不衛生装置の周りは複雑で汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖して炎症を起こし、口内炎の発症や悪化につながります。
3. 免疫力の低下治療に伴うストレスや疲労、睡眠不足、栄養の偏りなどで体の抵抗力が弱まると、粘膜のトラブルが起きやすくなります。
4. 口腔内の乾燥矯正装置によって唾液が流れにくくなったり、口呼吸になったりすると、粘膜を守る唾液の機能が低下しがちです。

これらの原因が複合的に絡み合うことで、矯正中は口内炎ができやすく、また治りにくい状態になってしまうのです。

痛すぎる口内炎に今すぐできる応急処置3選

ここでは、痛みがピークのときに試せる即効性の高い応急処置を3つ紹介いたします。
手元にあるものですぐに実践できる方法もありますので、ぜひ試してみてください。

1. 矯正用ワックスで物理的な刺激をガードする

矯正中の口内炎対策として最も基本的で効果的なのが、矯正用ワックスの使用です。
これは粘土のような素材で、装置の尖った部分や粘膜に当たる部分を覆い、物理的な刺激を直接防いでくれます。
歯科医院で受け取ったり、薬局やオンラインで購入したりすることが可能です。

使い方はとても簡単です。

  1. 手をきれいに洗います。
  2. ワックスを米粒程度の大きさにちぎって丸めます。
  3. 装置の水分をティッシュなどで軽く拭き取ります。
  4. 痛みの原因となっているブラケットやワイヤーの端に、ワックスを貼り付け指でしっかり押さえます。

ワックスは食事の際には外すのが望ましいですが、万が一飲み込んでしまっても体に害のない成分でできています。
痛みの原因となる部分を的確に保護することで、驚くほど楽になる場合があります。

2. 患部を冷やして痛みの感覚を和らげる

口内炎のズキズキとした痛みが強いときには、患部を冷やすことで感覚を麻痺させ、一時的に痛みを和らげることが可能です。
氷を清潔なガーゼやビニール袋に包み、口の外側から頬に当てるのが安全な方法です。

口の中に直接氷を含む場合は、患部に長く当てすぎると凍傷のリスクがあるため注意しましょう。

3. 刺激の少ない食事を摂る(食べ物・飲み物の工夫)

口内炎があるときの食事は、食べ物が患部に触れる刺激を最小限に抑える工夫が必要です。
具体的には、以下のような食事を心がけるとよいでしょう。

おすすめの食事避けるべき食事
おかゆ、スープ、ヨーグルト辛いもの(唐辛子、カレーなど)
ゼリー、プリン、豆腐酸っぱいもの(酢、柑橘類など)
細かく刻んだうどん、マッシュポテト硬いもの(せんべい、ナッツなど)
バナナ、スムージー熱すぎるもの、冷たすぎるもの

飲み物がしみる場合は、ストローを使って患部に直接触れないように飲む工夫も有効です。
栄養を摂ることは治癒を早めるためにも重要なので、食べやすいものを選んでください。

症状を根本から治す!口内炎の効果的な治療法

応急処置で一時的に痛みをしのいだら、次は口内炎そのものを積極的に治していく段階です。
放置すると悪化したり、治りが遅くなったりすることもあります。

1. 市販の塗り薬・貼り薬で炎症を抑える

薬局やドラッグストアでは、様々な種類の口内炎治療薬が販売されています。
主に、患部に直接塗る「軟膏タイプ」と、貼り付けて保護する「パッチタイプ」があります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の症状や使いやすさに合わせて選ぶのがよいでしょう。

タイプメリットデメリット
軟膏タイプ患部に直接塗布でき、舌の上など貼り薬が難しい場所にも使いやすいです。食事や会話などで取れやすいことがあります。
パッチ(貼る)タイプ患部を物理的に保護するため、食事などの刺激から守り、薬効が持続しやすいです。貼る場所によっては違和感があったり、剥がれやすかったりします。

これらの市販薬を適切に使用することで、炎症を抑え、痛みを緩和し、治癒を早める効果が期待できます。

2. 殺菌作用のあるうがい薬で口腔内を清潔に保つ

口内炎ができているときは、お口の中の細菌が傷口から侵入し、症状を悪化させる二次感染のリスクが高まります。
そのため、殺菌作用のあるうがい薬(洗口液)で口腔内全体を清潔に保つことが非常に重要です。

うがい薬を選ぶ際は、患部にしみることがあるため、刺激の少ないノンアルコールタイプがおすすめです。
歯磨きの後に使用することで、磨き残しを減らし、細菌の繁殖を効果的に抑えることが可能です。

矯正中の口内炎を予防する3つの習慣

口内炎は、日々の少しの心がけで、発生リスクを大幅に減らすことができます。
ここでは、矯正期間をできるだけ快適に過ごすための予防習慣を3つ紹介します。

1. 矯正装置の周りを徹底的に清掃する

口内炎の引き金となる細菌の繁殖を防ぐには、何よりも口腔内を清潔に保つことが基本です。
矯正装置の周りは食べかすや歯垢が溜まりやすいため、通常の歯ブラシに加えて、専用のケアグッズを活用しましょう。

  • タフトブラシ(ワンタフトブラシ): 毛先が小さくまとまっており、ブラケットの周りなど、細かい部分をピンポイントで磨くのに最適です。
  • 歯間ブラシ: ワイヤーの下や、歯と歯の間の隙間を清掃するのに役立ちます。
  • デンタルフロス: 矯正用フロスやフロススレッダーを使うと、ワイヤーの下にもスムーズに通すことができます。

毎食後の丁寧な歯磨きを習慣づけることが、口内炎だけでなく虫歯や歯周病の予防にも繋がります。

2. 粘膜の健康を保つ食事と栄養素(ビタミンB群など)

口の中の粘膜を強くし、健康に保つためには、体の内側からのケア、つまり栄養バランスの取れた食事が不可欠です。
特に、以下の栄養素は口内炎の予防や改善に効果的とされています 。

栄養素主な働き多く含まれる食材
ビタミンB群 (B2, B6)皮膚や粘膜の修復を助け、健康を維持します。豚肉、レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品
ビタミンC免疫力を高め、傷の治りを助けるコラーゲンの生成に必要です。ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、いちご
鉄分不足すると粘膜が弱くなり、炎症が起きやすくなります。レバー、赤身肉、ほうれん草、あさり
亜鉛細胞の再生を促し、免疫機能を正常に保ちます。牡蠣、牛肉、チーズ、豚レバー

これらの食材を意識的に食事に取り入れることが大切です。

3. 十分な睡眠とストレスケアで免疫力を高める

矯正治療中の違和感や痛みは、知らず知らずのうちにストレスとなり、体の免疫力を低下させる原因になります。
免疫力が下がると、普段なら問題にならないようなわずかな刺激でも口内炎ができてしまうのです。

質の高い睡眠を十分にとることは、免疫細胞を活性化させ、体の修復機能を高める上で最も重要です。

矯正中の口内炎に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、患者様からよく寄せられる矯正中の口内炎に関する質問にお答えします。
多くの方が抱える疑問を解消し、不安を少しでも軽くできれば幸いです。

口内炎はどのくらいで治りますか?

一般的な口内炎は、原因となった刺激がなくなれば、通常1週間から2週間程度で自然に治癒します。
矯正装置が原因の場合、ワックスで保護したり、市販薬を使用したりすることで、この期間内に改善することがほとんどです。
しかし、2週間以上経っても全く治る気配がない、あるいは悪化している場合は、他の病気の可能性も考えられるため、必ず歯科医院を受診してください。

痛くて歯磨きができません。どうすればいいですか?

痛いときは、ヘッドの小さい歯ブラシやタフトブラシを使い、患部を慎重に避けながら優しく磨きましょう。

また、歯磨き粉がしみる場合は、発泡剤や香料の少ない低刺激性のものを選ぶと楽になります。
どうしても歯ブラシを当てるのが難しい場合は、殺菌作用のあるうがい薬を併用し、できる限りお口の中を清潔に保つことを優先してください。

口内炎が原因で矯正治療を挫折する人はいますか?

確かに、矯正中の口内炎の痛みは非常につらいものです。
しかし、実際に口内炎だけが原因で治療を中断する方はほとんどいません。

なぜなら、この記事で紹介したように、痛みには必ず有効な対処法があるからです。
また、治療が進み、お口の中が装置に慣れてくると、口内炎はできにくくなる傾向があります。
私たちは、患者様が治療を乗り越えられるよう、全力でサポートします。

【まとめ】正しい対策で痛みを乗り越え、理想の歯並びを手に入れよう

歯列矯正中の口内炎は、多くの方が経験するつらいトラブルですが、決して乗り越えられない壁ではありません。
その原因は、装置による物理的な刺激や免疫力の低下など様々ですが、それぞれに有効な対策が存在します。

痛みが強いときは、まず矯正用ワックスや市販薬で応急処置を行い、刺激の少ない食事を心がけましょう。
そして、根本的な解決と再発防止のためには、丁寧な口腔ケアと、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠といった生活習慣が何よりも大切です。

正しい知識と対策を身につけ、つらい時期を乗り越えましょう。

矯正中の痛みでお悩みなら「とどろき今井歯科」へご相談ください

この記事を読んで、矯正中の口内炎についてご理解いただけたかと思います。
それでも、「自分の場合はどうしたらいいのかわからない」「痛みが強くて不安だ」という方もいらっしゃるでしょう。
世田谷区等々力にある「とどろき今井歯科」では、患者様一人ひとりのお悩みに寄り添った、丁寧なカウンセリングを最も大切にしています。

矯正中の口内炎の痛みはもちろん、治療に関するあらゆる不安や疑問について、どうぞお気軽にご相談ください。
経験豊富なスタッフが、あなたが安心して治療を続け、最高の笑顔を手に入れられるよう、全力でサポートいたします。


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