• 2025年11月19日

【歯科医師監修】歯が折れた!応急処置から治療法・費用まで完全ガイド

突然のアクシデントで歯が折れてしまい、どうすれば良いか分からず不安な気持ちでいっぱいかもしれません。
痛みや見た目の問題はもちろん、治療にどれくらいの費用や期間がかかるのか、心配は尽きないことでしょう。

しかし、ご安心ください。
この記事を読めば、歯が折れた直後に取るべき正しい行動が分かります。
さらに、損傷のレベルに応じた治療法の選択肢から、費用の目安までを網羅的に解説していますので、落ち着いて最適な一歩を踏み出すための助けとなるはずです。

歯が折れた直後の正しい応急処置

歯が折れてしまった直後は、以下の手順に従って、落ち着いて行動してください。

  1. まず、折れたり欠けたりした歯の破片を探しましょう。見つけた破片は、牛乳や生理食塩水に浸し、乾燥させないようにしましょう
  2. お口の中を軽く水でゆすぎ、清潔に保ちましょう。
    ただし、強くうがいをすると必要な組織まで流れてしまう恐れがあるため、優しく行ってください。
  3. 出血がある場合は、清潔なガーゼなどで圧迫して止血します。
  4. できる限り早く歯科医院へ連絡し、受診しましょう。

応急処置のポイント具体的な行動注意点
破片の確保折れた歯の破片を探す破片をゴシゴシ洗わないこと
破片の保存牛乳・生理食塩水・口の中などで湿潤状態を保つ絶対に乾燥させないこと
口内の清潔水で軽くゆすぐ強くうがいをしないこと
止血清潔なガーゼで圧迫する痛みが増す場合は無理しない
歯科医院へ連絡すぐに電話して状況を伝える自己判断で放置しない

やってはいけないNG行動3選

良かれと思って取った行動が、かえって歯の状態を悪化させてしまうことがあります。
以下の3つの行動は絶対に避けてください。

  1. 破片をゴシゴシ洗う・消毒する
    歯の表面には「歯根膜」という、歯と骨をつなぐ重要な細胞が付着しています。
    これを洗い流してしまうと、歯を元に戻せる可能性が著しく低下してしまいます。
  2. 破片を乾燥させる
    ティッシュペーパーなどで包むと、破片はすぐに乾燥してしまいます。
    乾燥した歯の細胞は死んでしまうため、再接着などの治療が困難になるでしょう。
  3. 痛くないからと放置する
    痛みがない場合でも、歯の内部で神経が損傷していたり、細菌感染が始まっていたりする可能性があります。
    放置すると症状が悪化し、最終的に抜歯せざるを得なくなるケースも少なくありません。

【損傷レベル別】歯が折れたときの治療法を徹底解説

歯が折れた際の治療法は、損傷の範囲や深さによって大きく異なります。
歯科医院では、レントゲン撮影などで状態を正確に診断し、最適な治療法を提案してくれるでしょう。
ここでは、損傷レベル別に代表的な治療法を紹介します。

レベル1:表面が少し欠けた場合|レジン(コンポジットレジン)修復

歯の表面にあるエナメル質がわずかに欠けた程度の、最も軽度なケースです。
この場合、欠けた部分に歯科用のプラスチック(コンポジットレジン)を詰めて形を整える治療が一般的です。

この治療は、通常1回の通院で完了し、保険適用であれば費用も数千円程度と比較的安価に済みます。
しかし、レジンは時間が経つと変色したり、すり減ったりすることがあるため、定期的なメンテナンスが必要になる場合もあります。

レベル2:大きく欠けたが神経は無事な場合|詰め物・被せ物(クラウン)

レジン修復では対応できないほど大きく欠けてしまったものの、神経(歯髄)には達していないケースです。
この場合、欠けた部分の型を取り、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)を作成して修復します。

素材には、保険適用の銀歯やプラスチックから、自費診療のセラミックやジルコニアまで様々な選択肢があります。
自費診療の素材は費用が高くなりますが、天然の歯に近い見た目を再現でき、耐久性にも優れているというメリットが得られます。

素材の種類メリットデメリット
保険適用素材費用が安い見た目が目立つ、金属アレルギーのリスク、経年劣化しやすい
自費診療素材天然歯に近い見た目、耐久性が高い、汚れがつきにくい費用が高い、保険が適用されない

レベル3:神経まで達してしまった場合|精密根管治療

歯の破折が内部の神経まで達してしまった場合、激しい痛みを伴うことが多くあります。
この状態を放置すると、細菌が侵入して歯の根の先に膿が溜まるなど、深刻な事態につながりかねません。

そのため、感染した神経を取り除き、根管(神経の通り道)の内部を綺麗に消毒する「根管治療」が必要となります。
根管治療は歯を抜かずに保存するための最後の砦ともいえる重要な治療ですが、非常に精密な技術が求められる治療です。
治療後は歯が脆くなるため、土台を立てて被せ物(クラウン)で補強するのが一般的です。

レベル4:歯の根が折れた・歯を残せない場合|ブリッジ・インプラントなど

歯の根(歯根)まで折れてしまったり、損傷が激しく保存が不可能と判断されたりした場合は、残念ながら抜歯という選択になります。
しかし、歯を失った後も、その機能を補うための優れた治療法が複数存在します。

  • ブリッジ: 失った歯の両隣の歯を支えにして、橋を架けるように人工の歯を装着する方法です。
  • インプラント: 顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着します。
  • 入れ歯: 取り外し式の人工の歯で、残っている歯や歯茎で支えます。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、歯科医師とよく相談し、ご自身のライフスタイルや価値観に合った方法を選択することが重要です。

折れた歯の放置が招く5つの深刻なリスク

「少し欠けただけだから」「痛くないから」といって歯科医院に行かずに放置すると、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
歯が折れた状態を放置することには、以下のような深刻なリスクが伴います。

  1. 細菌感染と激しい痛み: 欠けた部分から細菌が侵入し、神経が炎症を起こすと耐え難い痛みが発生します。
  2. さらなる破折と抜歯: 一度弱くなった歯は、食事などのわずかな力でさらに大きく割れてしまい、抜歯が必要になるリスクが高まります。
  3. 噛み合わせの悪化と顎関節症: 歯が欠けたままになると、全体の噛み合わせがずれ、頭痛や肩こりを引き起こす顎関節症の原因となることがあります。
  4. 周囲の歯への悪影響: 欠けた歯をかばうことで他の歯に負担が集中したり、隣の歯が倒れ込んできて歯並び全体が乱れたりします。
  5. 口臭の悪化: 欠けた部分に食べかすが詰まりやすくなり、細菌が繁殖して強い口臭の原因となります。

お子様の歯が折れたら?保護者の方が知っておくべきこと

お子様が転倒などで歯を折ってしまった場合、保護者の方は特に心配になることでしょう。
乳歯であれ永久歯であれ、応急処置の基本は大人と同じです。
折れた破片を乾燥させずに保管し、速やかに歯科医院を受診してください。

「乳歯だからそのうち生え変わる」と安易に考えるのは危険です。
乳歯の根の先には、永久歯の芽(歯胚)が育っています。
乳歯の損傷を放置すると、感染が永久歯の芽に及び、将来生えてくる永久歯の形や色、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。
歯科医師の診断を受け、適切な処置をしてもらうことがお子様の未来の口の健康を守ることにつながります。

歯の治療で後悔しないために|精密治療が可能な歯科医院の選び方

ここまで様々な治療法を解説してきましたが、どの治療を選ぶにしても、その成否は歯科医師の技術と診断の正確さに大きく依存します。
特に、歯の寿命を左右する根管治療や、長期的な安定性が求められる被せ物・インプラント治療では、「精密治療」が極めて重要になります。
後悔しない治療を受けるためには、どのような視点で歯科医院を選べば良いのでしょうか。

理由1:治療の精度が違う「マイクロスコープ」の活用

精密治療の鍵となるのが「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」です。
これを用いると、視野を最大20倍以上に拡大でき、肉眼では決して見ることのできない歯の内部の微細な亀裂や、感染の取り残しなどを正確に把握できます。

国内の歯科医院におけるマイクロスコープの普及率はまだ20%程度と言われています。
世田谷区等々力にある「とどろき今井歯科」のように、マイクロスコープを導入し、精密な診断と治療を行っている歯科医院を選ぶことは、再治療のリスクを減らし、ご自身の歯を長く守るための賢明な選択と言えるでしょう。

理由2:各分野の専門家による「チーム医療」と徹底した「衛生管理」

歯の治療は、一つの分野だけで完結しないことも多くあります。
例えば、歯根破折の治療には根管治療の専門知識が、インプラントには口腔外科の技術が、そして全体の噛み合わせを整えるためには矯正治療の視点が不可欠です。

各分野の認定医や専門医が在籍し、連携して一人の患者さんを診ることで、複雑な症例に対しても、多角的な視点から最も適切な治療計画を立てることが可能です。
また、徹底した衛生管理は、安全な治療を受けるための大前提となります。

【まとめ】歯が折れたら、まずは落ち着いて専門医にご相談ください

この記事では、歯が折れた際の応急処置から原因、治療法、費用、そして予防策までを網羅的に解説しました。
万が一の事態に遭遇した際は、この記事を思い出してください。

  1. まずは落ち着いて応急処置(破片の確保と保存)を行う
  2. 自己判断で放置せず、できる限り早く歯科医院へ連絡する
  3. 治療法は一つではないため、専門家とよく相談して決める

何よりも大切なのは、信頼できる専門家を見つけ、正確な診断のもとで適切な治療を受けることです。
世田谷区等々力にある「とどろき今井歯科」では、マイクロスコープなどの先進設備と各分野の専門家によるチーム医療で、患者様一人ひとりに最適な治療を提供しています。
歯が折れてお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

本記事は、とどろき今井歯科 院長 今井 佳佑(歯科医師)の監修を受けています。
とどろき今井歯科 03-3701-1182 ホームページ