• 2025年12月10日

歯茎の役割とは?出血は病気のサイン?健康を守る3つの機能とセルフチェック法

歯磨きのたびに出血したり、鏡を見ると歯茎が下がったように感じたりしていませんか。

実は、歯茎は単に歯を支えているだけでなく、私たちの全身の健康を左右するほど重要な役割を担っているのです。
この記事では、歯科医師監修のもと、見過ごされがちな歯茎の3つの大切な役割から、ご自宅でできる健康状態のチェック方法、そして今日から始められる具体的なケア習慣までを徹底的に解説します。

この記事を最後まで読めば、歯茎の本当の価値を理解し、ご自身の健康を守るための第一歩を踏み出せるようになりますよ。

歯茎が担う3つの重要な役割

歯茎は、お口の中の健康を守る「生命の砦」ともいえる、非常に重要な器官です。
普段あまり意識することはないかもしれませんが、歯茎は実に多くの機能を果たして私たちの体を守っています。

ここでは、歯茎が担う3つの基本的な役割について、一つずつ詳しく見ていきましょう。

役割1:歯をがっちり支える「不動の土台」

歯茎の最も基本的で大切な役割は、歯を顎の骨にしっかりと固定することです。
歯は、歯茎の下にある歯槽骨(しそうこつ)という骨に支えられています。

歯茎は、この歯槽骨と、歯と骨をつなぐ歯根膜(しこんまく)という組織を覆い、外部の刺激から守っています。

役割2:細菌の侵入から全身を守る「最強のバリア」

お口の中には、良い菌も悪い菌も含め、常に多くの細菌が存在します。
歯茎は、これらの細菌が歯の根元や体内に侵入するのを防ぐ、非常に重要なバリアの役割を果たしているのです。

特に、歯と歯茎の境目には「付着上皮」という特殊な組織があり、細菌の侵入を物理的にブロックしています。
このバリア機能が弱まると、歯周病菌が体内に入り込み、全身のさまざまな病気を引き起こす原因となることもわかってきました。

役割3:食事や会話を豊かにする「高性能クッション&センサー」

食事の際、歯には私たちが想像する以上に強い力がかかっています。
歯茎は、この強い力を吸収し分散させるクッションの役割を担い、歯や顎の骨への負担を和らげてくれるのです。

さらに、歯茎には多くの神経が集まっており、食べ物の硬さや温度を感じ取るセンサーとしても機能します。
また、言葉を発する際にも、舌が歯茎に触れることで特定の音が作られるなど、明瞭な発音を助ける重要な役割も担っています。

あなたの歯茎は大丈夫?自宅でできる健康チェックリスト

これからご紹介するチェックリストを参考に、鏡を見ながらご自身の歯茎をじっくりと観察してみてください。
早期に変化に気づくことが、健康な歯茎を長く保つための鍵となります。

健康な歯茎のサイン vs 危険な歯茎のサイン

健康な歯茎と、注意が必要な歯茎の状態には、見た目や感覚に明確な違いが現れます。
以下の表で、ご自身の歯茎がどちらに近いか確認してみましょう。

チェック項目健康な歯茎のサイン危険な歯茎のサイン(歯周病の疑い)
薄いピンク色赤黒い、紫色がかっている
歯と歯の間が三角形に引き締まっている丸く腫れぼったい、ブヨブヨしている
硬さ引き締まっていて硬い押すと痛みや出血がある
歯磨き出血しないブラシを当てると簡単に出血する
歯の見た目歯の長さは変わらない歯が長くなったように見える(歯茎下がり)
口臭気にならない口臭が強くなったと感じる
その他歯がぐらぐらしない歯が浮いた感じがする、ぐらつく

歯茎の役割が損なわれるとどうなる?歯周病が全身に及ぼす怖い影響

もし歯茎の健康が損なわれ、歯周病が進行すると、お口の中だけの問題では済まなくなります。
歯周病は、歯を支える骨を溶かし、最終的には歯が抜け落ちてしまう病気です。

しかし、本当に怖いのはそれだけではありません。
歯周病菌が歯茎の血管から全身に巡ることで、命に関わるさまざまな病気のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。

関連が指摘される全身疾患概要
糖尿病歯周病が糖尿病の血糖コントロールを悪化させ、逆に糖尿病が歯周病を進行させるという相互関係があります。
心疾患・脳卒中歯周病菌が血管内に入り込み、動脈硬化を促進することで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
誤嚥性肺炎唾液に含まれる歯周病菌が、食べ物などと一緒に誤って気管に入り、肺で炎症を起こす病気です。
低体重児出産・早産妊娠中の女性が歯周病にかかると、血中に入った歯周病菌の影響で、低体重児出産や早産のリスクが高まります。
関節リウマチ歯周病が関節リウマチの発症や悪化に関与している可能性が指摘されています。

【歯科医師監修】今日から始める!健康な歯茎を育てる3つの習慣

ここからは、世田谷区等々力にある「とどろき今井歯科」が推奨する、健康な歯茎を育てるための3つの基本的な習慣をご紹介します。

習慣1:汚れを残さないセルフケア

毎日の歯磨きは、歯茎ケアの基本中の基本です。
大切なのは、歯の表面だけでなく、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)が溜まりやすい「歯と歯茎の境目」を丁寧に磨くことなのです。

歯ブラシの毛先を45度の角度で境目に当て、優しく小刻みに動かすのがポイントです。
また、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを必ず併用しましょう。

セルフケアグッズ主な役割こんな方におすすめ
歯ブラシ歯の表面と歯と歯茎の境目のプラーク除去全ての方
デンタルフロス歯と歯が接している面のプラーク除去歯と歯の隙間が狭い方
歯間ブラシ歯と歯の間の根元部分のプラーク除去歯と歯の隙間が広い方、ブリッジがある方
タフトブラシ奥歯や歯並びが悪い部分のピンポイント清掃磨き残しが気になる方、矯正中の方

習慣2:内側から強くする食生活と生活習慣

歯茎も体の一部であり、健康を保つためには栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
特に、歯茎の組織を作るコラーゲンの生成を助けるビタミンCやタンパク質を意識して摂取すると良いでしょう。

一方で、喫煙は歯茎の血行を悪化させ、歯周病のリスクを大幅に高めるため、禁煙を強く推奨します。

歯茎を強くする栄養素働き多く含まれる食品例
ビタミンCコラーゲンの生成を助け、歯茎の組織を強化するパプリカ、ブロッコリー、キウイ、柑橘類
タンパク質歯茎そのものを作るための主成分肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ビタミンA歯茎の粘膜を健康に保つレバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草)
ビタミンE血行を促進し、歯茎の健康をサポートするナッツ類、アボカド、植物油

習慣3:専門家と協力する「プロ」の定期検診

どんなに丁寧にセルフケアを行っても、自分では取り除けない汚れ(歯石)は少しずつ溜まっていきます。
そのため、定期的に歯科医院でプロによるクリーニング(PMTC)を受けることが非常に重要です。

定期検診では、汚れの除去だけでなく、自分では気づきにくい初期の歯周病や虫歯を発見してもらえます。
また、ご自身の磨き方の癖に合わせたブラッシング指導を受けることで、日々のセルフケアの質をさらに高めることができます。

【まとめ】歯茎の健康は未来のQOL(生活の質)を高めるための投資

この記事では、歯茎が担う5つの重要な役割から、健康状態のセルフチェック、そして日々のケア習慣までを解説しました。
歯茎は、歯を支える土台であると同時に、細菌から体を守るバリアであり、食事や会話を楽しむための重要なパートナーです。

歯茎の健康を守ることは、お口の中だけでなく、全身の健康を守り、将来の生活の質(QOL)を高めるための大切な「投資」と言えます。
今日からご自身の歯茎に少しだけ意識を向けて、丁寧なケアを始めてみてください。

もし、歯茎の出血や腫れ、歯茎下がりなど、気になる症状があれば、決して放置せずに専門家にご相談ください。
世田谷区等々力にあるとどろき今井歯科では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた最適なケア方法をご提案し、あなたの健康な未来をサポートします。

本記事は、とどろき今井歯科 院長 今井 佳佑(歯科医師)の監修を受けています。
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